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新潟県古書組合の歴史を探る 1

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いつだったか覚えてませんが、新潟古書組合の総会で組合の旗をいただきました。


それが画像の旗になりますが、この旗が何を意味するのか、どういった経緯でこの旗が作られたのか一切不明で現組合員の誰も知らないのですが、現在この旗は弊社(はなひ堂)に保管されています。


新潟古書組合の総会は毎年12月に行われて、その年にあったことや決算の報告が行われた後、懇親会へとなだらかに移行していくという忘年会の一つです。


その懇親会の席で、とある先輩組合員が神妙な顔で「はなひ堂、お前に託したいものがある」と言って取り出してきたのがこの旗でした。


この旗は彼も先輩の古本屋から譲り受けたもので、その経緯は覚えてないがとにかく新潟組合の魂のようなもので、時が来たら誰か後輩の古本屋に託したいと思っていたとおっしゃるのでした。


広げると一畳近くありそうな旗で、保管をするにもそれなりに場所を取りそうです。持って帰れば妻に何と言われるか容易に想像がつきます。


どうやって断ろうかと考えていると、「この旗を受け取るということは、新潟古書組合の正当な後継者ということを意味する」とおっしゃいます。


作られた経緯が一切不明な旗を持つことが、なぜ正当な後継者ということを意味するのかよくわかりませんが、「邪魔ならまた持ってきてもいい。いつでも引き取るから」と言われて旗をグイッと私の前に差し出したのでした。


旗の中央には新潟古書組合のものと思われるロゴが、そして「皇紀二千六百年樹立」と「新潟市古書籍商組合」と書かれています。


皇紀二千六百年は1940年(昭和15年)らしく、「樹立」と書かれているので、おそらく設立された年のように見えます。戦時中にまた呑気なことをと思いましたが、もしかしたら戦争と何か関連しているのかもしれません。


実は新潟県古書組合の歴史を最もよく知っている組合員でも、昭和50年以降の記録しか知りません。そして催事や市場などの組合活動はいつ始まったのか、どんな古本屋があったのか等々、もしも昭和15年に新潟古書組合が発足したのだとしたら、そこから昭和50年くらいまでの記録が一切ないのが現状です。


また、「新潟県」ではなく「新潟市」古書籍商組合となっているのはなぜなのか。これを知っている者は当然誰もおらず、もしかしたら長岡市と新潟市には別々の組合があったのかも…と想像だけが膨らんでいきます。



新潟県古書組合の歴史を探る



以上のような経緯で私に渡ってきた新潟組合の旗ですが、他県の組合の方の何人かに聞いてみてもそんな旗は知らないと言っていました。そしてこれまでにも他県に同じような旗があると聞いたことはありません。


これだけを根拠とするには少し弱い気もしますが、この旗は「全古書連公式」の旗というわけではなく、新潟組合独自の旗の可能性が極めて高いと思われます。新潟市古書組合独自のというか。


どういった経緯で作られたのか一切不明の旗。そして昭和15年に設立され(たと思われる)、昭和後期になるまで公式と言える記録がほとんどなく、空白の数十年が横たわる新潟県古書組合。いったいこの空白の数十年の間に何があったのか…。


私が新潟古書組合に入ってから10年以上が経ちました。それほど多くの活動はありませんが、その一つ一つは学びの多いものでした。


そんな古書組合に少しでも恩を返すために、というよりも単純に私の興味から、新潟古書組合の歴史について調べてみたいと思うようになりました。


どこから調べるのか、どうやって調べるのか一切手がかりはありませんが、本ブログは私が新潟県古書組合について調べた記録を書いていこうと思います。とはいえ現状、手がかりは何もありません。どんな些細なことでも構いませんので、新潟県の昭和の古本屋について、またはそれが書かれている本について、知っている方がいればお教えいただけますと大変助かります。


当然、このプロジェクトは私の本業の合間に行われます。思ったように進まず、年月だけが過ぎていくこともあるかもしれません。ですがそうであったとしても、そんな時には私が先輩から旗をいただいたように、次の方に託していきたいと思います。次の方が現れればですが…。

ブログページ 新潟県古書組合歴史 2024年11月8日