新潟県古書組合について
こんにちは。
新潟県古書籍商組合 (以下、新潟県古書組合)に所属しています、はなひ堂 新井弘文と申します。
以下、新潟県古書組合について簡単にご説明させていただきます。
新潟県古書組合は全国古書連加盟組合の下部組織です。
ということは新潟県古書組合へ入会されているお店は全国古書連加盟組合参加店ということになります。
と書きましたが、なんのことかよくわかりませんね(^_^;)
そもそも全国古書連加盟組合がよくわかりませんね。ということで全国古書連加盟組合について簡単に説明すると、それは組合の必要性を感じた全国の古本屋さんが集まって作った組織です。
そんな全国古書連加盟組合(以下「古書組合」と書きます)がどのような形で各県に下部組織である地方組合を作るようになったのか、その経緯は私にはわかりませんが、現在は「古書組合に入る」ということは自店の県の下部組織、新潟ならば新潟組合に入ることを意味しています。そして新潟で営業されているお店が長野や東京の組合に入ることはできません。つまり自店が営業されている都道府県にある下部組織の組合に入ることが古書組合に入るということになっています。回りくどい説明で恐縮ですが、なんとなくわかりますでしょうか(^_^;)。
といっても古本屋になるには古書組合に入る必要があるかというとそうではなく、あくまでも参加したい古本屋さんが入会しているという形です。
私も新潟で古本屋として活動しているかたを多く知っていますが(このご時世ですので古本屋なのか骨董屋さんなのかネット物販業なのか判断が難しい方も大勢いますが)、組合に入っていないかたのほうが多いように思われます。
そもそもどうしてそんな組織が必要なのかというと、主に2つの理由があります。
そこには古本屋さんならではの特殊な事情があり、それらは古本屋を営業していく上で誰もが感じることになります。
それらを以下ご説明します。
1.古本屋さんの仕入れはとにかく特殊
いまでこそブックオフや駿河屋さんなどの巨大古本チェーンが日本全国を支配していますが、もともと古本屋は小資本の弱小企業が多く、それら弱小企業は自分だけで売り上げを作ることはおろか、仕入れすらまともにできないことが多いのです。
資本が無いので満足な初期投資が行えず、それが元で満足な宣伝が行えなかったり、急激な需要増に対応できなかったりと、とにかく弱い立場にあります。
ただ、それだけだと特に古書組合の必要性は無いように思えますが(単純に資本を大きくすればいいだけですし)、古本屋の仕入れが特殊だということが組合の必要性につながっています。
分かりやすく一つ例をあげると、古本屋さんの仕入れは一般のお宅からの買取がメインになっています。
ただ、その仕入れは毎月安定したものではなく、月によってバラつきがあり、場合によっては1年かけても売りさばけないような仕入れのある場合もあります。
もちろん仕入れた本が未来永劫安定した価値を持つものであれば巨大倉庫で対応できますので巨大資本でOKです。
ですが皆さんはとあるチェーン店で「この本はバーコードがないから買取できません」「この雑誌は古いので買取できません」と言われた経験がありませんか?こういったことは古本の特殊性を十分に表しています。つまり巨大資本でもカバーできない領域が存在していて、そしてその全貌は誰も知ることができないのです。
そして古本には鮮度が劣化する商品も多くあり(ましてや昨今の電子書籍化への流れもあり、価値を保ち続ける本は非常に少ないはずです)、それは新しい本だけでなく古い本でも現在評価されているにすぎない本というものもあり、それらを長期的に倉庫に保管していては紙屑になる可能性の高いものが多いことも事実です。
そんな時、他の古本屋さんと連携して入荷した本を融通し合う形ができたらすばらしいですよね?
また、法律書に強い古本屋さんがフランス料理の専門書を仕入れたような場合、自分の扱える範囲外の本が入荷した場合はどうでしょうか。
そんな時、他の古本屋さんと連携して入荷した本を融通し合う形ができたらすばらしいですよね?
世には様々なジャンルの本があり、一つのお店がそれら全ての知識を網羅するには限界があります(巨大古本チェーンでさえも全てを網羅することが不可能ですし、ましてや古本屋一店舗でできることはとても小さいことなのです)。
そしてもちろんお店の棚にも限界があり、置ける本にも限界があり、そして全てのジャンルを把握することの困難さも立ちはだかっているのです。
膨大な数の文学全集の相場が頭に入っている古本屋さんがワンピースのコミックセットの相場を知らないということはざらにあることなのです。
そんな時、他の古本屋さんと連携して入荷した本を融通し合う形ができたらすばらしいはずです!
そしてその融通し合う形というのが「市場」と呼ばれる交換会であり、それを維持するために必要な組織が古書組合なのです。
2. 古本屋さんの社会的立場は弱い!
社会的立場が弱いことも組合の必要性の一つです。
例えば何年か前、国会図書館が電子データ化するという発表をしました。
それを古書組合が猛抗議しました。古本発掘についてはもちろん様々な説があるのは承知していますが、結果として国会図書館からの遠まわしではありますが、日本の古本屋へのリンクを貼ってもらうという形にできました。
これなんかは古書組合という組合の力がなければできなかったことだと思います。
古書組合が古本屋の総意を汲んでくれた形になりました。
または「神田古本まつり」のような街を挙げてのイベントなんかは組合の力なくしては不可能といっても過言ではないと思います。神田という特殊な地域ではありますが、私なんかは東京組合の存在感を存分に発揮しているすさまじいイベントと解釈しています。
社会的立場が弱いのは古本屋に限ったことではないと思いますが、基本的に社会の中では個人の力などほとんど無力に等しいと思います。私も40を過ぎてなんでこんなに無力な存在なんだと呆然とすることがしばしばありますが(^^;)、それは古本屋一店舗でも同じことのように思います。そしてその無力な存在が集まれば神田古本祭りのようなすさまじいイベントも起こせるのです(神田の古本屋さんは比較的無力でない方たちだと思っていますが(^^;))。
長くなりましたが、古書組合は主に上の2つが理由で作られた組織です。
ですので、もしも自店が上の二つを強く感じるようになったのなら、それは古書組合に入ることも考えるいいきっかけだと思います。
仕入れに困っている、または買取りが十分にあるにも関わらず販売に手が回らない、催事をしたいのだけれども自分だけではなにもできない等、それらを解決する糸口になるのではないでしょうか。